集客ツールやカスタマーサポートツールとしてLINE公式アカウントやLINEミニアプリはとても便利ですが、グローバルで見るとLINEよりもWhatsAppのほうがユーザー数が多いです。
そこでWhatsApp BusinessがLINE公式アカウントやLINEミニアプリのような集客ツールとして使えるのか調べてみました。
なお、こちらは2024年4月現在の情報となります。ご利用される前に公式サイトで最新の情報をご確認ください。
※「WhatsApp Business」や「Conversation」など、公式に日本語訳されていない用語は英語のまま表記しています。
WhatsApp Businessの2つの種類
WhatsApp Businessには「WhatsApp Business App」と「WhatsApp Business Platform」という2つのサービスがあります。それぞれ見ていきます。
WhatsApp Business Appについて
WhatsApp Business Appは小規模事業者向けのサービスで、無料で利用できます。
ただし、1つのWhatsAppアカウントにしかひも付けられないため、複数アカウントによる管理はできません。ユースケースとしては1人が自分の端末を利用する、もしくは専用の端末を用意して少人数で管理する場合に限られます。
個人商店などの小規模事業者で、チャットサポートを導入したい方に向いています。
WhatsApp Business Appの主な機能
- WhatsApp Business Profile(ビジネスプロフィール作成)
- Greeting(あいさつメッセージ)
- Away Messages(不在メッセージ)
- Quick Replies(定型文)
- Labels(タグ付け)
- Catalog(商品カタログ)
- Cart(カート)
- Broadcast(いわゆるニュースレター?)
カートは決済機能と連携しているわけではないので、あくまで商品の受注までしかできないようです。また、ニュースレター機能についてはヘルプが見当たらず、詳細についてはわかりませんでした。
WhatsApp Business Appの初め方
WhatsApp Business Appの初め方は普通のWhatsAppを利用するときとほぼ同じで、特に難しい操作などはありません。
- WhatsApp Business Appをインストールする
- 利用する国や電話番号を登録する
- コンタクトと電話の権限を許可する
- ビジネスプロフィールを作成する
詳細は公式サイトをご確認ください。
WhatsApp Business Platformについて
WhatsApp Business Platformは中規模以上の事業者向けのサービスで、さまざまな独自の機能が使えるうえに複数人での管理ができるようになります。
WhatsApp Business Platform自体はAPIでの提供になるため、既存のシステムに組み込んだりUIを開発する必要があるため導入ハードルはまあまあ高めです。
WhatsApp Business Platformの料金について
WhatsApp Business Platformは「Conversation」をベースとした料金形態になっています。
Conversationとは
Conversationとは1人のユーザーとの24時間以内のメッセージのやり取りのことです。最初のメッセージから何通やりとりしても24時間以内なら1 Conversationですが、24時間を過ぎてから新しいメッセージを送信すると2 Conversationとカウントされます。
4つのConversation Category
さらに、4つの「Conversation Category」というものがあります。
- Marketing:プロモーションやおすすめ商品の紹介など、いわゆるメルマガやニュースレター
- Utility:購入完了の通知など、あるトリガーで自動送信されるメッセージ
- Authentication:電話番号認証や2段階認証などの認証コードの送信
- Service:ユーザーから送られてきた問い合わせに対する返信
WhatsApp Business Platformの料金計算方法
「利用する国」と「Conversation Category」によって単価が決められおり、最終的な料金は単価 × Conversation数で計算されます。
例えば、インドネシアでのMarketing conversationの単価はRp586.33です。仮に1ヶ月に4万通(1万人に4回)送信するとなると
Rp586.33 × 10,000人 × 4回 = Rp23,453,200
が料金となります。
WhatsApp Business Platformの無料枠
なお、Service Conversationについては毎月1,000の無料枠があります。ユーザーからの問い合わせ返信だけをおこなう場合は無料で利用できる可能性もあります。
WhatsApp Business Platformの初め方
LINE公式アカウントとの料金比較
WhatsApp Business PlatformとLINE公式アカウントと料金の比較をしてみましょう。まず、LINE公式アカウントの料金形態はこのようになっています。
前述のように月に4万通のメッセージを送るとすると、スタンダードプランの無料メッセージ3万通+1万通の追加メッセージが必要です。最終的な料金は
月額固定費15,000円 + 10,000通 × 3円 = 45,000円
となります。
WhatsApp Business Platformで計算したRp23,453,200は日本円で約22万円です。対象国も違いますしメッセージ数とConversationのため単純比較はできませんが、かなり費用感の差があります。
メールマガジンとの料金比較
次にメールマガジンとの料金比較をしてみます。ここではメール配信サービスのSendGridの料金と比較してみます。
月に4万通のメールを送信すると、Basicプランで$50(約7,700円)、Advancedプランで$60(約9,200円)となります。
実際には登録者リストの収集コストやメッセージ開封率、コンバージョン率、LTVなどから総合的な投資効率をみる必要がありますが、配信コストだけで見れば圧倒的に安いですね。
まとめ
自分1人、もしくは少人数でWhatsAppを使った集客・サポートツールを導入するならWhatsApp Business Appが適しているでしょう。
チームを組んでしっかりとWhatsAppを使った集客・サポートをおこなうならWhatsApp Business Platformという選択肢もあります。ただし、導入ハードルも送信コストも高めなので、商材単価や粗利率の高いビジネスや、100店舗以上などある程度の規模を持つ企業でないと適しません。
それ以外の企業としては、まずは問い合わせフォームやメールマガジンを利用するのが現実的な落とし所な気がします。
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